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心理教育家族教室ネットワーク

Japanese Network of Psychoeducation and Family Support


心理教育・家族教室ネットワーク ニューズレター 2号

目次
*研究集会実行委員会より   伊藤順一郎
*心理教育・家族教室−わたしのやり方 (2) 鈴木廣子
  (3) 川嶋義章
  (4) 松本 出
  (5) 香月和子
    編集後記

心理教育・家族教室ネットワーク研究集会実行委員会より

 
心理教育・家族教室ネットワーク第一回研究集会のお誘い

 心理教育や家族教室という方法をご自分の実践の中に取り入れつつ、日頃の臨床や保健活動に従事しておられるみなさまに、当ネットワーク第一回の研究集会のご案内をいたします。

 この研究集会は、当ネットワーク発足当時から、私たちが情報交換をしたり、お互いの技術を確認したり、またリフレッシュしたりするための場として位置づけようとしてきたものです。今回幸いなことに、関東地区に在住の発起人のみなさまのご協力で、横浜で会を催す運びとなりました。

 内容は、プログラムをごらんになるとおわかりのようにシンポジウムと分科会が3つ、それに研修のワークショップと盛りだくさんです。はじめての会ですので全体が見渡せるようにと実行委員は心がけ、全国で活躍されている、これはと思う方々に声をおかけしたところ、みなさん二つ返事で引き受けてくださいました。とても充実した会になりそうで、今から楽しみです。

 会場に関しては横浜市総合保健医療センターの加瀬昭彦先生のご尽力でJR桜木町駅前の「横浜市健康福祉総合センター」をお借りすることができました。また、加瀬先生のお仲間のSST・アセスメント研究会のみなさんが企画にともに取り組んでくださり、当日の運営にも積極的に関わってくださいます。大変ありがたいことで、共催というかたちで関わっていただくことにいたしました。

 ところで、心理教育的な家族教室を、私はとても楽しく体験しています。みんなで一緒に考えるうちに、肯定的なアイデア、上手な対処法、生きるための希望などが見えてくるときは本当に感激します。ご家族が熱心に自分の意見を言うのを聞いて、こんなにみんな力があるんだと思えるときは、私たちもがんばろうという気持ちがたくさん湧いてきます。この研究集会も、そのような会にきっとなる、そう思ってとても期待しております。最後に一つだけお願いをさせてください。

 会場は一応300人ほどが入れる広さを用意しておりますが、事務の手続き上、なるべく(当日受付ではなく)予約申し込みのかたちをお取りください。締め切りを1月15日といたしました。早く申し込んでいただければいただくほど、事務局は大変助かります。よろしくお願いいたします。

 それでは、2月28日に横浜でお会いいたしましょう。

第一回研究集会事務局

国立精神神経センター精神保健研究所

伊藤順一郎

  今回は、4つの施設からご投稿をいただきました。はじめの2節では、摂食障害の患者さんを抱えたご家族に対する心理教育的家族教室を精力的に実践されている2つのグループ、岩手医科大学神経精神科の鈴木廣子先生、南浜病院の川嶋義章先生に現在実施しているやり方をそれぞれご紹介いただきます。そのあと、主として精神分裂病の家族教室を病院で実践されている大原総合病院精神科の松本 出先生と、精神保健福祉センターや保健所などの地域を舞台に実践されている佐賀県立精神保健福祉センターの香月和子さんにそれぞれのご経験をご紹介いただきます。

心理教育・家族教室−私のやり方(2)    

                     岩手医科大学神経精神科

                            鈴木廣子

1)現在実施している場所と対象

 盛岡赤十字病院の精神科外来で摂食障害の家族教室を実施しています。対象は摂食障害と診断され、現在通院、または入院治療中の患者さんのご家族で、主治医(鈴木)より勧められ、同意の得られたご家族の方々です。(患者さんの参加も可能)

2)いつから実施しているか

 1995年8月21日からスタートして、現在4グループ目が始まっています。

3)関わっているスタッフの構成

 看護婦2名、臨床心理士1名、事務員1名、精神科医1名の計5名です。

4)プログラムの詳細

@全体の枠組み

 月1回、第3月曜日、午後2から4時頃まで計6回のセッションで行っています。

A各セッションの枠組み

 「教育セッション」は「病気の概要(歴史、心理機制、疫学、経過)の説明」「家族へのメッセージ」となっています。「グループセッション」では、参加家族から(平均5家族)あげてもらった「困っていること」「聞いてみたいこと」「知りたいこと」から、共通した話題や参加家族が興味を示す話題を取り上げ、その話題に焦点を合わせ、解決志向型のグループワークをします。具体的には、各家族が体験したエピソードなどを振り返り検討しながら(ホワイトボードに書き出す)、全員で目の前にいる患者に対してよい対処法(患者の心理を理解し、さらに家族の限界も考えながら)を考えます。

Bモデルにしている、あるいは準拠しているやり方

 伊藤順一郎先生、後藤雅博先生のワークショップを参考にしています。

5)特に気をつけること、自分なりに工夫していること

 会場はスタッフの心つくしの季節の花々がさりげなく飾られ、手作りのマスコットも添えられ、和やかで暖かい雰囲気で参加家族にとって息抜きの場になればと、また、参加された家族が十分に話したいという満足感をもたれて帰られるように、スタッフもさりげない存在であるようにと心がけています。

6)評価の方法

 参加された家族に負担がなく、かつ、摂食障害の家族の変化や患者の症状評価に適切な評価方法があれば、お教えいただきたいと思います。現在は実はこれで悩んでいます。

7)財政的裏づけ

 無料で行っています。家族教室で多くのことを学ばせていただいているという思いで続けています。今後、参加人数が増えて継続していくためには診療報酬などの裏付けが不可欠です。

8)修了した家族への関わり

 現在は、自然発生的にグループごとにネットワークができていますが、フォローアップグループを希望される方が多いので、今後検討したいと考えています。



心理教育・家族教室−私のやり方(3) 

    南浜病院  川嶋義章

1)現在実施している場所と対象

 新潟大学医学部附属病院の検討会室を使用し、摂食障害家族教室を実施しています。対象は、同附属病院精神科・心身科に通院あるいは入院中の摂食障害患者の家族で、後述する調査を含めて参加の同意を得られた方です。

2)いつから実施しているか

 平成8年11月に開始し、月1回、計5回を1クールとしています。現在第3クールの準備中です。

3)関わっているスタッフの構成

 精神科医(新潟大学家族研究グループ)5から6名で行っています。時にオブザーバーとして、市内の病院の他科のスタッフが参加することもあります。

4)プログラムの詳細

@全体の枠組み

 月1回(およそ第3または4土曜)、初回及び最終回のみ家族評価のため午後1時30分から、その他の回は午後2時から4時頃まで、計5回のセッションです。

A各セッションの枠組み

 3回までは前半1時間を教育セッションとし、各担当者が講義(歴史、疫学、症状、病因、経過、合併症、治療、家族が患者さんにできること)を行います。後半1時間と、4、5回のすべてはグループデスカッションとします。リーダーは精神保健福祉センターの後藤が行います。講義は我々で作成したオリジナルテキストを配布し、スライドも利用しながらわかりやすく端的に伝えることを心がけました。グループディスカッションは問題解決技法を使用し、家族から困っていることと、最近何か良かったことがなかったかをあげてもらいます。問題に対するこれまでの努力や対処を聞き、参加者で共有します。共通する問題について全員で検討し、できれば行動レベルの解決法を考え、次回までの課題にします。

Bモデルにしている、あるいは準拠しているやり方

 SSTの問題解決技法、家族療法の技法などをとりいれています。

5)特に気をつけていること

 教育セッションでは、「原因は多様であると考えられており、家族の育て方や対応のまずさが主たる原因でないこと」が強調されます。家族の自責感やあせりを和らげるよう心がけています。グループワークでは患者を含めた家族の肯定的変化と、行動レベルに焦点を当てるようにしています。途中に休憩をもうけ、お茶やお菓子も準備しています。

6)評価法

 初回と最終回に、セッション前の30分を利用して参加者全員にFMSSによるEE評価、自記式質問紙(家族機能-FACES、精神状態を含めた概括健康度-POMS、家族が評価する患者の摂食行動評価-ABOS)の評価を行います。また同時に各主治医に協力してもらい、患者評価(社会機能-GAS、症状客観評価-EDES、自己評価-EDQR)も施行しています。最終回には、参加家族全員に感想や要望を含めたアンケートも記入をお願いしています。

7)財政的裏づけ

 1クールは某財団の研究助成を受けて行いました。しかし、第2,3クールはどこからも援助はありません。

8)終了した家族への関わり

 1クール後、自発的な交流や、自然発生的な自助グループへの移行が見られました。またフォローアップセッションの希望が多いため、現在検討中です。


心理教育・家族教室−私のやり方(4) 

大原綜合病院附属清水病院  松本 出

1)現在実施している場所と対象

 福島市内の富士病院と、現在私が在職している清水病院にて行っている。富士病院では個別レベルで4家族を対象にしたが、後任医師が家族教室へと発展させている。清水病院では当初から家族教室の形で20-30家族を対象としている。導入条件として当人らが主治医から病名告知を受けていることを前提とし、入院、外来、いずれの患者及びその家族を対象にしている。他院通院中の患者も受け入れている。

2)いつから実施しているか

 富士病院では95年6月から、清水病院では96年6月より実施している。

3)関わっているスタッフの構成

 富士病院では医師1名、臨床心理士2名であったが、清水病院では「家族教室委員会」を発足し、医師2名、臨床心理士1名、精神科ソーシャルワーカー3名、看護者10名のスタッフでより緊密な関わりが可能になっている。

4)プログラムの詳細

 a)病名告知後、主治医から委員会が作成したパンフレットを用いて導入がなされる。パンフレットには、分裂病に関する説明、教育用図書の紹介とともに、家族教室を行うに当たってのスタッフ側のポリシーが以下のように明示されている。

1.分裂病は脳という一臓器の疾患であり、家族が病気の一次的原因ではない。

2.家族の不安、罪悪感、困惑に共感し、十分な支持を与える。

3.インフォームド・コンセントに則り、病状、治療法等について情報を分かち合う。

4.家族の自助的側面を認め、正しい対処技能を身につけ、再発防止の治療パートナーとしての役割を担ってもらう。セッションは隔週毎1回90分、計5回を1クールとしている。これを2ヶ月毎繰り返し、年3クール行っている。

 b)各セッションの詳細

「病因と症状」「治療と予後」「看護者の対応の工夫」「SSTと家族の対応方法」「社会復帰と福祉制度」のタイトルで、各スタッフが分担して講義を行っている。講義の後45分はグループ討議とし(4, 5人)、質疑応答、問題解決に当てている。セッション内で解決しない問題や介入が必要と思われるケースには、個別面接を導入している。

 c)モデルにしているやり方は特にない。患者・家族とのコミュニケーションを十分にとり、彼らがもっとも満足し、患者- 家族関係のリフォームに効果があるよう常に工夫している。

5)特に気をつけていること、自分なりに工夫していること

 初回には家族会長を交えて、スタッフ、家族の自己紹介を行い、できるだけ、動機づけ、ジョイニングが進むよう工夫している。家族知識質問紙を用いて参加者の問題点を明確化した上、各講義内容は適宜柔軟に変化を持たせている。もっとも特徴的な点として、SSTとの連携を重視していることがあげられる。家族にSSTに参加してもらい、心理教育的家族教室(PFI)で得られた知識を背景に、患者に対する適切な対処技能を模擬体験を通じて習得させるよう努めている。

6)効果の評価法

 患者に対しては、対人的効果訓練記録、PANSS、P-F study、Baumなどの心理検査、家族に対してはFMSSでEE評価を行っている。

7)財政的裏づけ

 清水病院では家族教室委員会の発足に伴い、運営のための年間予算として病院からサポートを得ている。今後、このようなアプローチに対する診療報酬点数化を希望したい。

8)個別レベルで問題点を明確化した後、 スタッフによる十分なfollow-upを行っている。必要であれば、各セッション別に再参加を促すようにしている。自助的関係作りのため、終了後も参加してもらい新入家族のためにいろいろ意見を出してもらうこともある。

心理教育・家族教室−私のやり方(5) 

佐賀県精神保健福祉センター

                  主任保健婦  香月和子 

1)現在実施している場所と対象

 佐賀県における家族教室は、精神保健福祉センター(以下センターと略)主催で行っている年1回の家族講座、全保健所で行っている年5-6回シリーズの家族教室、また、保健所から遠い町役場で年1-2回行われている家族教室があります。対象はいずれも精神分裂病圏内の患者の家族です。センターの保健婦としては、各保健所、町役場の家族教室においてスーパーバイザー、及び講師として参加しています。

2)いつから実施しているか

 センターで初めて家族講座が開始されたのは1994年2月で、1994年5月からは佐賀中部保健所で実施、1995年より4保健所、1997年より全保健所で実施され、1996年からは1町、1997年からは3町で実施されるようになりました。

3)関わっているスタッフの構成(ここからは保健所の家族講座について報告)

 保健所では保健所保健婦が中心で、講師は地元の精神科医、看護婦、PSW等です。

4)プログラムの詳細

a)全体の枠組み

 1クール5から6回開催し、2から3ヶ月で終了します。佐賀中部保健所のみ月1回「基礎講座」「継続講座(基礎講座修了者)」を行っています。各講座とも定員は15名です。

b)各セッションの紹介

 センターで作成したテキストを用い、講義、グループワーク、個別相談を行っています。

c)モデルにしているあるいは準拠しているやり方

 全国精神保健相談員会編 精神保健「家族教室」や全家連主催の「家族教室指導者研修会」を参考に行いました。

5)特に気をつけていること、自分なりに工夫していること

 センターで心理教育的プログラムを取り入れ、「精神分裂病とは」「精神分裂病の治療」「リハビリテーションと家族」「家族の対応」「精神障害者の福祉を支える制度」等の項目を1冊にまとめたテキストを作成しました。全保健所、町役場で使用していますので、講師による内容にばらつきが少なく、講師にとても好評です。

 センターで全体的知識を得た後、保健所や町役場できめ細かなサポートを受けられるよう工夫しています。また、保健所精神保健福祉従事者研修会にて年1から2回各家族教室のあり方について検討を行っています。

6)効果の評価法

 平成7年度からは全家連の調査研究を受け、アンケート調査により評価を行いました。今年度からは全保健所で取り組むようになったのを機会に、評価法を検討中です。

7)財政的裏づけ

 今年度より全保健所予算化されました。

8)終了した家族への関わり

 家族教室に参加されたことがきっかけで、気軽に保健所や役場に相談に来たり、デイケアに参加できるようになったり、未受診の患者さんが医療に結びつきました。

編集後記

*いよいよ第1回研究集会のプログラムが決まりました。皆様ぜひご協力、ご参加をお願いします。今回会員の皆様に研究集会の案内と振込用紙を2部同封させていただきました。お近くで興味のある方がおられましたら、ご案内いただきたいと思います。このほかにプログラム案内や振込用紙をご希望の場合は、研究集会事務局、ネットワーク事務局どちらでも結構ですのでFAX等でお知らせください。必要分お送りいたします。なお研究集会事務局からも連絡がありましたが、参加事前予約にぜひご理解、ご協力をお願いします。予約申し込み締め切りは1月15日です。

*皆様ぜひニューズレターに御寄稿をおねがいします!ご意見や疑問、地域のちょっとした情報、体験談、経験交流などなんでもお寄せください。

 

第13回研究集会ご案内NEW
(参加申し込み受付中)

研修案内NEW

第12回研究集会ご案内終了


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(一部内容を抜粋しています)
   
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